単細胞思惑か東京12ヶ月


『お久しぶりです。元気にしてますか?
 吉田ひなたです。もう忘れられてるかもですが…
 小学生の時、仲良くしてもらってました。
 急に思い出して、メールしました。なぜかアドレス知ってたので…
 誰?って感じやったらごめんね。
 日場君は今、どこでなにしてますか?
 私は東京で、だらだらしています。
 よければ、近況きかせて下さい。

 吉田ひなた』


と、いうメールを受信した時、ワンルームの部屋で、ひとりで、スーパーで買ってきた弁当を開けたとこだった。
仕事から帰宅して、スーツを脱ぎ、とりあえずハンガーに掛け、シャツとボクサーになった。
ネクタイを緩めながら冷蔵庫を開け、ビールを一缶取り、速攻飲んだ。
で、テーブルの前に座って弁当に手をかけたところで、受信した。

大きく息を吐いた。

いたなー!っていう気持ちと、なんかこう、全然おもんない俺をどう説明したらいいんやろっていう。
小学生の時の俺と今の俺は、対極にあるかもしれない。
朝出勤して、大概残業して、ふらふらで帰って、パンツいっちょでビール飲んで弁当食べるという
こういうルーティンワーク。全然女の子とも、なんもない。
期待はずれやろうなあ。


『お久しぶりです!覚えてるよ(^_^)
 俺は、ずっと大阪にいます。IT関係の仕事で、毎日くたくたです。
 軽くおっさんになりました。
 よっしー(って呼んでいいんかな)も元気そうでよかった!
 大阪には帰ったりしてないの?』


急激に思い出してきた。
「よっしー」と呼んでいたこと
俺がなにかいうとげらげら笑ってた「よっしー」
やせっぽちの「よっしー」
だらだらってなんやねん。俺、そんな余裕全然ないって。
チキン南蛮弁当のチキン南蛮は、チキンか疑わしい感じがしたから、ビールを一気に飲み込んだ。