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(危うく続かないところであった)
単細胞思惑か東京12ヶ月



とおるさんがいる。
まだ11時なのに、缶ビール片手にうきうきしているみたいだ。
朝、今日は快晴、でもあたしの体はバキバキになっていて、精一杯だ。
別にそういうことしてる最中はあたしも嫌じゃないし、しあわせやなあって思うし、いいんやけど、でも、この朝にくる気怠さははんぱない。
この後悔は計算して、事を運べない。


かたやとおるさんは、缶ビール片手に、楽しそうにしている。
「いたっ」
とおるさんに、コンドームの箱を投げた。
腰に当たって、少し残ってた中身がバラーっと出た。
「あかんあかん、痛いやん」
「うん」
「中身も出たよ」
「うん」
きれいな長い指が、中身をきちんと箱になおしていく。
「はい、どうぞ」
「いらん」
「じゃあ、なおしとこ」


あたしは、わがままだろうか。
こんなやさしくされても不安、と思うのは、わがままだろうか。
そういう意味では「つきあおう」なんて一言も言っていないひろいと一緒にいる方が、気楽だ。
でも、ひろいとはつきあっていないのだ。
それに、ひろいとは、抱き合ってるだけだ、ってそんなこと、理由にもならへんけど。