(がんばって続ける習作)単細胞思惑か東京12ヶ月





あたしは、チョコレートが好きだ。
水も好き。キャベツも好き。じゃがいもも好き。
かわいい下着も好き。かわいい女の子も好き。子供も好き。
今日は花も好き。
アイスをふるえながら食べて、ビールの空き瓶に生けた花を見ている。
「たりない」といえば
今日、今、とおるさんが不在だ。
ビールばっかりが冷蔵庫に在る。あたしはビールは飲まない。
とおるさんは仕事に出、三日、会っていない。
あたしはするべき家事も見いだすことができない。
部屋のかべに、あたしたちの下着を、ならべて、画鋲で、貼っていっている。


朝昼夜
朝昼夜
朝昼夜
朝昼夜  朝


「うわー、すごいなあ。全部やったん」
「うん、やった」
はだかにTシャツ一枚引っ掛けて、かべ一面すべてに下着を着せたところでとおるさんは帰って来た。
頭をなでられた。
「俺もやろ」
とおるさんは、パンツごとズボンを下げて、丁寧にそれを整え、画鋲で貼付けた。
Tシャツにしか守られてないあたしたちは、かべを見ながら久しぶりにくっついた。