わたしたちに許された特別な時間の終わり

岡田利規さんの本。文庫になったので、やっと読む感じに。
舞台やってたってのもあり、岡田さんといえば“チェルフィッチュ
でも、ちゃんと観たことはない。
なんかタイミング合わなかったのかな…。やっと3月に、新作を観に行く。
「わたしたちは無傷な別人であるのか?」横浜美術館まで。


ってのもあって、ちゃんと読んでおきたかった、岡田さんの本。


短編2作。大江健三郎賞、受賞作だそうです。
わたしはそのうちの1つ「三月の5日間」を特に読みたかった。
というのも、舞台音響をやっていた頃の師匠に「お前を思い出させるような女が出てくる」と言われたから。
“ぱっつりと斜めに揃えられた前髪”の女。
…わたしは、確かにぱっつりと斜めに揃えられた前髪をしていた。
自分でじょきじょき、斜めに切っていた。


さぶいぼたつー。って思いつつ、ストーリーとしては
イラク戦争が始まる頃。偶然知り合う男女が、渋谷のラブホテルで取り留めない時間をすごす
という感じ。

なんやその漠然とした感じは!って思う記録だけども
多分実際に読むと大体の人が「あ」って思う瞬間に、いっぱい遭遇するんじゃないだろうか。
日常に思う、誰かに言うほどでもないけど大事にしちゃうような感じ、とか
「なんかいいよねー」っていう、漠然とした感じが、共感できるかたちで文字にされていってる。

とりとめないこと、なんか汚い、セックスばっかだらだらしてる気がする、なんかぎりぎりだ
動こうとは思ってる、あとでいい、胸がぎゅっとなる、webであてどなく

そういうのって、なんとなく後ろめたいけど、まあ、してまう時はしかたないもん。
とか思っちゃう。
そう自然と思わせるのって、なかなか難しいと思います。


「あー、なんかすげー、だりー」とか思ってるとき、マクドとか行って、読んじゃえばいいと思います。
やる気!とかではないけど、「あ、わたしは今、今を生きてるな」って思う。
少なくとも、わたしはそう感じました。

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そもそも、370円でこんないい内容の本読めるっていうのがね、なんか世の中狂ってる!(笑)