単細胞思惑か東京12ヶ月



手をつないだりすることと、セックスすること、会話すること
どれも大事にしたいと思ってる
やし、してる。そもそも「特別」ていうのが違和感があるのであって
もう、俺は、なにものでもない何かになりたい(なりたくないのか?)
ひなたは、チョコレートが好きや好きやと言って、下着までチョコレートみたいなのを買っては喜び


そんなことなら俺は、ひなたのブラやパンツになりたいし、って思う。


「いかがわしいし、そんなん嫌やわ」
「えー」
「とおるさんは今の仕事、かっこええやん」
寝付けないので、なんとなくカーテンをあける。寒い
「あたし、とおるさんの服、着るの好きやけど」
でも、ひなたは、この、彼女は、洗濯に無頓着で、こんなん言うんやらしいけど、俺が縫製して実際、ものすごい値段がついてもうてる服とかを、一発でよれよれにした。
でも、でもスパンスパンと洗濯物を干すときのひなたのことは大好きやから、まあ別にかまへんと思う。
「しわしわなる」
「ええやろーしわしわも」
目をつむる。
「また、ちょっとの間おらんなるん?」
「そうねー、ちょっと、仕事また立て込むかも」
「あたしもなんか仕事しょうかなあ。つまらんし」
「子供つくる?」
「はあー?そういうんじゃないー、子供って言うのんはっ」
ひなたに背を向けられてしまった。
「一生しわしわやったらええねん、お前なんか」
「ええええ」
もう、日がのぼってきそうやった。